島津評論 Vol.66[1・2](2009)
特集 先端技術開発

特集論文

多重周回イオン光学系による新しい多重周回質量分析法

西 口   克1上野 良弘2

島津評論 66〔1・2〕 61~72 (2009.9)

要旨

高性能質量分析計への発展が期待される,多重周回イオン光学系を用いた新しい多重周回質量分析法を概説する。従来,飛行時間型質量分析計として利用されてきた多重周回イオン光学系の概要を説明し,従来の多重周回飛行時間型質量分析法の問題を解決するtime-of-flight(TOF) segmentation method を紹介する。さらに,多重周回イオン光学系の新たな応用として,イオン非破壊検出器との組み合わせによる多重周回質量分析法を概説する。イオン非破壊検出器により得られる多重周回信号の質量スペクトルへの変換法として,TOF segmentation method を利用する方法と,周期的相関関数平均を利用する方法を考案した。これらの新規多重周回質量分析法により,高質量分解能・高質量精度・高速分析を実現する新しい質量分析装置の開発が期待される。


1設計技術センター 博士(理学)
2設計技術センター

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。