島津評論 Vol.65[3・4](2008)
特集 医用画像機器 XV

普通論文

シングルナノ粒子径測定装置IG-1000

十時慎一郎1島岡治夫1

島津評論 65〔3・4〕 211~218 (2009.3)

要旨

近年,ナノ粒子の製造技術の開発が進み,ナノ粒子の実用化や産業化が急速に進展しており,最先端の研究開発や品質管理においてシングル(一桁)ナノ粒子の粒子径測定がきわめて重要な課題となりつつある。ところが,従来のナノ粒子径測定装置の多くは,粒子から発せられる散乱光を粒子径測定のための検出信号として用いていたため,粒子径が小さくなりシングルナノ領域に達すると信号量(散乱光強度)が極端に弱くなり,正確な測定ができないという問題がある。この問題を解決するために,IG法(Induced Grating Method,誘導回折格子法)という粒子径測定技術を開発した。さらにシングルナノ粒子径測定装置IG-1000としてIG法の製品化を行った。
IG法では,まず液中で一様に分散している多数のナノ粒子に外力を作用させて,粒子回折格子をつくり,次に外力を停止し,粒子回折格子の拡散スピードから粒子径を求めている。IG-1000では,外力として誘電泳動を用い,拡散スピードを観察するために,1次回折光強度の時間的変化を検出信号として用いている。この信号量は粒子径に依存しないので,シングルナノ粒子についても十分な信号量が得られ,粒子径を高感度かつ再現性よく測定することができる。


1分析計測事業部試験機ビジネスユニット
※所属名は論文作成時のものです。

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