島津評論 Vol.65[1・2](2008)
特集 食品の安全と品質評価

普通論文

フーリエ変換赤外分光光度計および走査型共焦点レーザ顕微鏡を用いた繊維異物に対する多角的アプローチ

土渕毅1藤井岳直1

島津評論 65〔1・2〕 109~115 (2008.9)

要旨

製造現場では衣類,グローブ,スポンジ,フィルタなど様々な繊維製品が数多く使用されており,これらが異物の原因となっていることが少なくない。繊維には綿や絹などの天然繊維やナイロン,ポリエステル,アクリルなどの合成繊維があるが,これら繊維種の同定にはフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)による分析が有効であり,短時間で簡便に材質の判別が行える,しかし,同じ材質の繊維が複数の製品に使用されていた場合,それらの赤外スペクトルは同様となるため,異物の原因を特定することは容易ではない,一方,走査型共焦点レーザ顕微鏡(CLSM)は繊維組成の同定を行うことはできないものの,その優れた観察能力から,同一組成であっても繊維製品ごとの微細な状態や表面形状の違いなどから繊維種を判別することが可能となる。本稿では,繊維異物に対するフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)と走査型共焦点レーザ顕微鏡(CLSM)の利点とともに,両者を用いて多角的にアプローチした分析例を紹介する。


1分析計測事業部応用技術部
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。