島津評論 Vol.65[1・2](2008)
特集 食品の安全と品質評価

特集論文

におい識別装置FF-2A の食品分野での応用

青山佳弘1喜多純一2木下大生2赤丸久光2岡田昌之2

島津評論 65〔1・2〕 75~81 (2008.9)

要旨

におい識別装置は,においの全体状態の質や強さを表現して評価する装置で,従来の官能評価における客観的評価のサポートまたは代替や,サンプル間のにおいの比較やにおいの変化の傾向といった評価を目的とする装置である。
FF-2A によるにおいの表現内容は,主成分分析結果の座標マッピングと,絶対値表現解析によるにおいの質の数値化とそのパターン化,およびにおいの強さの数値化である。
食品分野におけるにおい識別装置の用途には,サンプル間のにおいの比較評価などの製品開発に関連するもの,サンプルの発酵や熟成過程のにおいの変化の評価などの製造工程に関連するもの,においによる製品の合否判定を行う品質管理に関連するものなどがある。
食品のにおいの比較評価例としてグレードの異なる日本茶の比較,市販かつおだしのにおいの比較,産地の異なる日本茶の類似性評価の例を,発酵過程の評価としてヨーグルト発酵のモニタリング例を,品質管理の評価としてウーロン茶の混入した緑茶の合否判定例を,食品分野におけるFF-2A の応用の具体例として紹介する。


1分析計測事業部応用技術部
2分析計測事業部事業戦略室
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。