特集論文
LC-MS による動物用医薬品分析
島津評論 65〔1・2〕 25~36 (2008.9)
要旨
食品の安全への関心が高まる中,食品中への動物用医薬品の残留も農薬と同じく懸念されている。食品に残留する微量な動物用医薬品を分析する場合,選択性が高く定性情報が得られる高速液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)は有用な分析手段である。本報では,一般的に使用される動物用医薬品27成分についてのLC-MS による一斉分析を紹介する。また,食品中に残留する動物用医薬品を分析するためには,畜水産物から動物用医薬品を抽出し,脂等の夾雑成分を除去・精製する技術が重要である。本報では,既報の通知法を参考として試料調製する場合の注意点を明らかにし,市販のフロリジルカラムと樹脂系逆相カラムを使用する方法を検討した。改良検討した精製手順を用い,豚肉および鶏肉中の代表的な動物用医薬品27成分の添加回収試験を実施した結果,回収率および繰返し再限性の改善が認められ,各々18成分および22成分が実分析適用できることが確認できた(回収率70から120%,CV 値20%以内)。
1分析計測事業部応用技術部
2株式会社島津総合分析試験センター
3分析計測事業部マーケティング部
※所属名は論文作成時のものです。
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。