島津評論 Vol.65[1・2](2008)
特集 食品の安全と品質評価

特集論文

GC/MSによる食用油中の残留農薬の分析検討

山田恭子1岡村嘉之2和田豊仁2

島津評論 65〔1・2〕 15~23 (2008.9)

要旨

加工食品である食用油について,残留農薬の簡便な一斉分析法を検討した。前処理方法は,Di Muccio ら(1990)の報告を参考に行った。食用油1.0g に対して農薬113成分をそれぞれ0.2μg 添加し,本法により添加回収試験を行った。大豆油および米油では,メタミドホスやアセフェートなど一部の極性農薬等を除く約80成分以上で60~150%と良好な回収率を得た。オリーブ油については,追加精製としてEnvi-carb/LC-NH2カラムを併用した結果,夾雑成分の影響を低減させることができた。Envi-carb/LC-NH2カラムの使用により,キノメチオネートやピリジミフェン等の回収率は低かったものの,それら以外の農薬については先の方法と同様,良好な回収率が得られた。本法は,非常に簡便かつ迅速な方法であるため,食用油中残留農薬分析の際のスクリーニングとして利用できると考えられる。


1株式会社島津総合分析試験センター
2分析計測事業部応用技術部
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。