島津評論 Vol.65[1・2](2008)
特集 食品の安全と品質評価

特集論文

ポジティブリスト制度残留農薬一斉分析における農薬の挙動評価

岡村嘉之1山田恭子2

島津評論 65〔1・2〕 3~13 (2008.9)

要旨

食品中に残留する農薬等について一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止するという, いわゆるポジティブリスト制度が施行された。ポジティブリスト制度では質量分析計を用いた一斉分析試験法 が採用された。
本稿ではGC/MS による農薬多成分一斉分析を実施し,農作物における添加回収試験を実施し多くの農薬で 良好な結果が得られた。また,実試料分析による装置汚染の影響が少ない農薬,ガラスインサート汚染の影響を大きく受ける農薬等,装置汚染箇所による分類を行い評価した。
カラムメンテナンス後の保持時間の自動修正に用いたAART(Automatic Adjustment of Retention Time)は,高精度に保持時間を自動修正することができた。農薬多成分一斉分析には非常に有効な機能であると考えられる。


1分析計測事業部応用技術部
2株式会社島津総合分析試験センター

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