島津評論 Vol.64[3・4](2007)
特集 ライフサイエンス・分子イメージング

普通論文

ポストカラム吸光誘導体化HPLC 法による糖類の高感度分析

渡邊京子1三上博久1

島津評論 64〔3・4〕 197~204 (2008.4)

要旨

HPLC における糖類の高感度分析のために,アルギニンを反応試薬として移動相に直接添加するポストカラム吸光誘導体化システムを開発した。
糖類はほう酸塩移動相を用いたほう酸錯体として陰イオン交換クロマトグラフィーにより分離し,カラム溶出液を反応コイルに導き化学反応槽内で加熱した。そして,糖類と移動相中にあらかじめ添加されているアルギニンとの過熱反応により生成した紫外吸収性誘導体化物をUV 検出器で検出した。高感度検出のために,反応検出条件(検出波長,アルギニン濃度,反応コイル長さ,反応温度)の最適化検討を行った。最適化された条件において,絶対注入量20~1000pmol の範囲で検量線は良好な直線性が得られ,またグルコースの検出限界(SN 比3)は約10pmol であった。
本ポストカラム吸光誘導体化法を用いたシステムは,反応試薬送液ポンプを必要としないシンプルな装置構成により,糖類の高感度分析ができる有用なシステムであることがわかった。


1分析計測事業部 応用技術部
※所属名は論文作成時のものです。

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