島津評論 Vol.64[3・4](2007)
特集 ライフサイエンス・分子イメージング

特集論文

実験小動物用PET 装置Clairvivo PET の開発

北村圭司1, 3水田哲郎2岩田祐士3山岸義行3村岡寛4大谷篤2田中和己2井上芳浩2大八木照之3上田雅之3清水公治3

島津評論 64〔3・4〕 107~115 (2008.4)

要旨

高感度かつ高分解能で高い定量性を達成する実験小動物用PET 装置“Clairvivo PET”を開発した。本装置は,体軸方向視野151mm のDOI(Depth-of-Interaction)検出器と137Cs を用いた吸収補正機構を備えている。 視野中心での断面内空間分解能は1.54mm FWHM(Full Width at Half Maximum),視野の中心から半径方向に4cm 離れた位置でも2.93mm FWHM であった。また視野中心での絶対感度は10.9%(エネルギーウィンドウ250―750keV)であった。計数率特性(NECR)はマウスサイズの円筒ファントムで最大411kcps(放射能濃度171kBq/mL)であった。また計数損失およびランダム補正の精度を検証した結果,放射能量0.6~30MBqの範囲で±2%未満の定量値を確保できることを確認した。セグメンテーションをベースとした吸収係数マップの定量性を検証した結果,ラットサイズでは10分計測,マウスサイズでは6分計測で吸収係数マップ作成の精度が保たれることを確認した。またラットを用いたスタティックイメージングから微細な構造の描出能を確認した。さらに,マウスを用いたダイナミックイメージングから心プールと腫瘍の放射能時間変化曲線を同時に得られることを確認した。Clairvivo PET は高い物理性能を有するため,短時間で定量性の高いイメージングを実現することが可能である。分子イメージングにおける新薬開発や薬物の動態計測に威力を発揮することが期待される。


1医用機器事業部技術部工学博士
2医用機器事業部技術部
3経営戦略室
4デザイン室
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。