島津評論 Vol.64[1・2](2007)
特集 センサ・デバイスと機能素子

特集論文

革新的新技術を用いた高分解能波長分散型X 線分光器(MCX分光器)の開発

北村壽朗1丸井隆雄1副島啓義2

島津評論 64〔1・2〕 53~61 (2007.9)

要旨

著者らは,革新的新技術であるマルチキャピラリX線レンズ(MCX : Multi-Capillary X-ray Lens)と平板分光結晶を用いた小型の波長分散型X線分光器(MCX 分光器)を開発試作した。EPMA(Electron Probe Micro-Analyzer)のみならずTEM(Transmitted Electron Microscope)やSEM(Scanning Electron Microscope)をはじめ,電子ビーム・イオンビーム・レーザ・X線などを用いた各種のマイクロアナリシスの分野で広く用いられる柔軟性を持つものである。このMCX 分光器を汎用SEMに取り付け,軟X線スペクトルの特性を調べた。今回開発したMCX分光器は4個の平板分光結晶が取り付けられるが,RAP(Rubidium Acid Phthalate)による酸素のKバンドスペクトルの1次線およびPbST(Lead Stearate)による炭素のKバンドスペクトルの1次線と2次線を測定した。これらのスペクトルはすでに信頼度の高いEPMA 用湾曲結晶分光器で測定されているが,MCX分光器により得られたスペクトルをEPMAによるスペクトルと比較した結果,波長分解能が同等であることが認められた。


1分析計測事業部X線・表面ビジネスユニット
2(株)島津総合科学研究所 工学博士
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。