島津評論 Vol.64[1・2](2007)
特集 センサ・デバイスと機能素子

特集論文

低迷光回折格子「ローレライ(LO-RAY-LIGHTM)」の開発

井原正博1米澤善央1笹井浩行1長野哲也1川田勝1岩井信之1

島津評論 64〔1・2〕 25~31 (2007.9)

要旨

著者らは,回折格子由来の迷光原因の究明と,その迷光の値を低減させるために,回折格子の仕様(サイズ・溝本数・ブレーズ波長等)を問わず,単体で測定が可能なレーザ式迷光測定装置を開発した。この測定装置を使った迷光測定が,実際の分光装置による迷光と相関があることが確認できた。そこで,この測定装置を回折格子製造工程に用いることで,各工程段階での迷光値の定量測定が可能となり,何が迷光に影響を与えるか数値でわかるようになった。その結果,製造工程中の露光工程とエッチング工程が迷光に大きく影響を与えることを見出し,この二工程を重点的に調査し,迷光値を評価尺度とし製造工程にフィードバックすることで,新たに独自の露光工程の工法を開発した。また,同時にエッチング工程の最適化を行った結果,迷光をきわめて小さくすることに成功し,世界最高水準の低迷光特性と高効率を併せ持った低迷光回折格子「ローレライ(LORAY-LIGHTM)」の開発に成功した。


1民生品部
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