島津評論 Vol.64[1・2](2007)
特集 センサ・デバイスと機能素子

特集論文

MgO ドープSLT 基板を用いた周期分極反転デバイス

徳田勝彦1門倉一智1久光守1東條公資1小林 裕1井戸 豊1小西健太2井上信治2森谷直司2

島津評論 64〔1・2〕 13~23 (2007.9)

要旨

第二高調波発生用の波長変換素子として,MgO ドープSLT 基板を用いた擬似位相整合(Quasi-Phase-Matching : QPM)型の周期分極反転デバイス(Periodically Poled Mg-SLT : PPMgSLT)の開発を行った。分極反転時の印加電圧と温度の最適化を図り,1mm 厚グリーン用素子(波長532nm)では,基板温度100℃,印加電圧590V で良好な分極反転周期構造が得られ,0.4mm 厚ブルー用素子(波長473nm)では室温,印加電圧350V で良好な結果が得られた。それぞれの素子において,有効面積内において発生した第二高調波(SHG :Second-Harmonic-Generation)の出力のバラツキは±5%の範囲内であり,良好な均一性を有する素子が作製できた。また,連続点灯試験においては実時間で2万5千時間を経過(継続中)して素子に異常は見られず信頼性の高い素子であることが分かった。さらに,このQPM 技術の応用としてレーザ結晶(Nd : YVO4結晶)とQPM 素子とを一体化したマイクロチップグリーンモジュールを開発した。波長808nm の半導体レーザ(LD :Laser Diode)により素子のレーザ結晶を励起し,励起LD 出力678mW 時に108mW のSHG 出力を得た。また,励起系をより高輝度のLD(エミッタサイズ2×4μm)にした場合にはSHG 効率(SHG 出力/励起LD 出力)で35.4%を得た。


1民生品部
2基盤技術研究所
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。