島津評論 Vol.63[1・2](2006)
特集 ライフサイエンス ―機器・方法の新展開―

特集論文

AXIMA-TOF2TMを用いた LC-MALDIシステムによる
混合物中の複数タンパク質の同時同定

Joanne Connolly1Matt Openshaw1Roberto Rasso1Rachel Martin1Noriyuki Ojima2

島津評論 63〔1・2〕 11~18 (2006.9)

要旨

複雑な生体混合試料からなるべく多くのタンパク質を正確にかつ確実に同定するために,新規 MALDI TOF-TOF質量分析計―AXIMA-TOF2TMと AccuSpotTMを用いた LC-MALDI自動測定解析システムを開発した。ヒトタンパク質の複雑な混合物を用いたMSとMS/MSスペクトルによるタンパク質同定から,次の三つの結果を得た。

  1. 複雑な混合物を1D LCで分離し,LC-MALDI技術で解析することで,37のタンパク質を一度に同定することができた。
  2. 多くのタンパク質において多様なペプチドを高い確率をもって同定することができた。
  3. 高エネルギー CIDスペクトルによって,低分子量のプロダクトイオンを多く検出することができるようになり,このことがデータベースサーチの同定率を上げることに寄与している。

これらの結果から,開発した LC-MALDIシステムは複雑な混合物中のタンパク質を実用レベルで自動的に同定できる能力を持っているといえる。


1Kratos Analytical LTD, Manchester, U.K.
2Life Science Business Unit, Analytical & Measuring I nstruments Division, Shimadzu Corporation, Kyoto, Japan
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。