特集論文
マイクロリアクターを用いた有機合成反応
島津評論 62〔3・4〕 201～210 (2006.3)
要旨
本稿では，効率良く試薬を混合するマイクロリアクターをマイクロチップ上に作製し，そのマイクロリアクターを用いて有機合成反応を行った研究について報告する。流体シミュレーションを用いて，微細流路内において二種類の試薬を薄く交互に重ねて多層にすることで，二液の混合に必要な拡散時間を短くした効率良く混合を行う流路構造を有する多層型のマイクロリアクターを考案した。試作した多層型のマイクロリアクターを用いて，コレステロールのアセチル化反応とステアリン酸のp-ブロモフェナシル化反応を行った。マイクロリアクターを用いた有機合成反応の収率評価には，微量試料の簡便な分析が可能なTLC(Thin Layer Chromatography）法を用いた。その結果，フラスコ中での有機合成反応と比較して同等か高い収率を得ることができた。
1基盤技術研究所
2奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科
3基盤技術研究所 工博
4分析計測事業部ライフサイエンス研究所 農博
※所属名は論文作成時のものです。
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