特集論文
誘電泳動グレーティング法によるナノ粒子解析
島津評論 62〔3・4〕 173~179 (2006.3)
要旨
粒子の計測技術は材料開発を始め多くの分野で利用されており,近年ではナノテクノロジーの進展に伴い数十nm以下の微粒子を計測する要求が高まりつつある。現在最も広く用いられている光を利用した粒子解析法の一つとしてレーザ回折・散乱法があるが,測定原理がミー散乱理論に基づくため可視光を光源とする場合,数十nm以下の粒子径に適用することは難しい。そこで著者らは新しい原理に基づく光を利用した液中のナノサイズ微粒子の粒度解析手法を考案し開発を進めている。著者らが提案する計測法は,誘電泳動現象を利用して形成した周期的な粒子密度変調が拡散によって消滅する過程を回折光の変化として計測し,拡散係数から粒子径を求めるものである。本計測法は,その計測原理から粒子および分散液体の屈折率は粒子径の決定に影響を及ぼさないという特徴を持っている。これは光散乱理論を利用した既知の計測法であるLaser Diraction MethodやPCSとは異なる重要な点である。本稿では,本計測法の原理について解説を行うとともにポリスチレンやコロイダルシリカなどのナノ粒子計測の実験によって原理の検証を行ったので報告する。
1基盤技術研究所
2分析計測事業部 試験機ビジネスユニット
※所属名は論文作成時のものです。
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。