島津評論 Vol.62[3・4](2005)
特集 先端技術開発

特集論文

顕微質量分析装置の開発

小河潔1竹内貞夫1原田高宏1吉田佳一1出水秀明2瀬藤光利3

島津評論 62〔3・4〕 125~135 (2006.3)

要旨

細胞や生体組織の形態観察時に,生体分子を確度の高い質量分析により同定し,きわめて高い空間分解能で分布測定を行うことができる,新しい“顕微質量分析装置”の開発を行っている。この装置では,レーザ照射径5μm,レーザ照準位置精度1μm,プリカーサ分離能5000,質量分解能100000を目標としている。その実現のため,高性能レーザ照準系,デジタルイオントラップ,マルチターン飛行時間型質量分析計の開発などを行う。これまでに,要素技術開発を行うための実験機の設計および製作を完了した。また,レーザ集光径や高効率イオン搬送系などの評価を行い,レーザ照射径30 μm 程度の集光の実現と,高周波イオン光学系の周波数可変化による高質量イオンの搬送効率の向上を確認した。今後,この実験機によりさらに要素技術の検討を進め,最終的な目標性能をもつ“顕微質量分析装置”を開発する。


1基盤技術研究所
2基盤技術研究所 理博
3自然科学研究機構岡崎統合 バイオサイエンスセンター 医博
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。