島津評論 Vol.61[1・2](2004)
特集 ライフサイエンス

特集論文

残存PCR阻害物質に対する粗精製DNA用Ampdirect®の効果について

西村直行1四方田聡2杉田哲佳1中山知子2外池宏司2

島津評論 61〔1・2〕 85~89 (2004.10)

要旨

生体試料中に存在するウイルス,細菌,細胞等のDNAを増幅して検出する際には,試料中に存在するDNA増幅を阻害する物質をあらかじめ除去しておく必要があるが,糞便のような多種多様かつ多量の阻害物質を含む試料からのこれらの物質の除去は困難を極める。また,阻害物質の除去が比較的容易な血液を試料とする場合においても,抗凝固剤にヘパリンを使用した血液から抽出・精製したDNAの増幅を試みる場合においては阻害が生じる危険性があることが報告されている。著者らが開発したAmpdirect®には生体由来物質が引き起こすDNA増幅阻害作用を強力に抑制する効果があり,本試薬を使用することで,上記の試料等から抽出したDNAサンプル中に残存する阻害物質の働きを抑え,安定したDNA増幅を実現することが可能となった。


1分析計測事業部 ライフサイエンス研究所 医博
2分析計測事業部 ライフサイエンス研究所
※所属名は論文作成時のものです。

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