島津評論 Vol.61[1・2](2004)
特集 ライフサイエンス

特集論文

二次元HPLCの開発と人髄液プロテオームへの応用

増田潤一1斉藤邦明2清島 満2西村雅之3Jeffrey A. Kowalak4Sanford P. Markey4上田輝久5

島津評論 61〔1・2〕 31~40 (2004.10)

要旨

二次元ゲル電気泳動法を用いない手法によるプロテオミックスとして,二次元HPLC法の高分離能とエレクトロスプレーイオン化質量分析法の高感度,高選択性および,タンデム質量分析法とデータベース検索から得られるシーケンス情報を兼ね備えたオンラインHPLC‐MSシステムが用いられてきている。本研究では脱塩処理も含めたオンライン自動二次元HPLCシステムを開発し,人髄液プロテオームへの臨床応用を試みた。開発したシステムは,ミクロスケールからナノスケールへのダウンサイジングにより,高感度を実現するナノエレクトロスプレー質量分析法へも対応可能とした。本自動分析システムおよび,分子量カットフィルタ等による簡便な前処理法を併用して,人髄液より主要なたんぱく質を含む100種類程度の,たんぱく質を同定した。これらの結果より,臨床プロテオーム等へ本システムが十分適応可能であることを示した。


1分析計測事業部 LCビジネスユニット(SSI 出向)
2(岐阜大学大学院医学研究科医科学専攻 医博
3分析計測事業部 LCビジネスユニット(SSI 出向) 学術博
4Laboratory of Neurotoxicology,NIMH,NIH Ph. D.
5分析計測事業部 LCビジネスユニット 農博
※所属名は論文作成時のものです。

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