島津評論 Vol.60[1・2](2003)
特集 ナノテクノロジー

普通論文

トリプトファン残基のラベル化による定量的プロテオーム解析法

九山浩樹1渡辺 真2戸田千香子2松尾英一3安藤英治4西根 勤5田中耕一6西村 紀4

島津評論 60〔1・2〕 93~101 (2003.11)

要旨

安定同位体試薬を用いた新規プロテオーム解析法を開発した。この方法は2‐nitrobenzenesulfenyl chloride(NBSCl)によるラベル化と質量分析法による蛋白質の相対定量および同定を基礎とする。本方法では,2‐nitrobenzenesulfenyl基を選択的にトリプトファン残基に導入し,安定同位体で標識された試薬(NBSCl‐13C6 : 重い試薬)および非標識の試薬(NBSCl‐12C6 : 軽い試薬)を用いることにより生じる6Daの質量差を利用して蛋白質の消化物中に含まれるトリプトファン含有ペプチドを質量分析法によって同定し,これをもとに対象蛋白質を決定する。本法を用いて,高血糖ラットおよび正常ラットの血清中の一部の発現蛋白質の相対定量を行った。


1分析計測事業部 ライフサイエンス研究所 農博
2分析計測事業部 ライフサイエンス研究所
3分析計測事業部 ライフサイエンス研究所 理博
4分析計測事業部 ライフサイエンス研究所 薬博
5分析計測事業部 ライフサイエンス研究所
6田中耕一記念質量分析研究所
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。