島津評論 Vol.60[1・2](2003)
特集 ナノテクノロジー

特集論文

島津ナノスコピック表面検査装置SPH‐1

三浦 忠1西村 司1山本靖則1

島津評論 60〔1・2〕 41~47 (2003.11)

要旨

現代においては,薄膜や材料の超微小領域での表面機械特性評価のニーズは高まってきている。
島津ナノスコピック表面検査装置は,ナノインデンテーション超微小硬度計と,原子間力顕微鏡の原理を応用したイメージング機能を一体化した,ユニークな装置である。数十μNの超微小試験力での試験および試験位置での表面走査像取得を可能にした。
一般に,ナノインデンテーションによる圧痕は光学顕微鏡の分解能を超えているため,光学顕微鏡による観測は不可能である。微小観察のできるSEMやAFMで観察することも,その圧痕位置を探し出すことに大きな困難を伴う。そのため,微小オーダの試験をするための試験位置決定が困難であり,また,試験後に正常に試験できたかどうか,どの部位に試験ができたかどうかの判定が困難であった。
本装置は,硬さ試験をするための圧子を表面走査像取得用プローブとして使用しているため,試験前の試験位置決め,あるいは,試験後の試験結果観察・試験位置観察に,即座に表面走査像を得ることが可能であり,微小領域における表面機械特性評価に重要な役割を担う装置である。
本稿では,本装置およびそのアプリケーション例について紹介する。


1分析計測事業部 試験機ビジネスユニット
※所属名は論文作成時のものです。

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