島津評論 Vol.60[1・2](2003)
特集 ナノテクノロジー

特集論文

SEMとナノマニピュレータによる有機電子デバイス表面の電位プロファイルの測定
―導電性高分子/金属界面によるショットキーダイオードの機能評価―

中川昌洋1金藤敬一1藤井岳直2丹羽直昌3

島津評論 60〔1・2〕 3~12 (2003.11)

要旨

微小な電極探針を取り付けたナノマニピュレータを走査電子顕微鏡(島津製作所製SS-550)内に組み込み,電子デバイスにおける電位プロファイルの精密な測定が可能な評価装置を開発した。この評価装置は最小ステップ3nmで三次元駆動および探針操作ができる。また,測定装置において重要である曲率半径100nm以下の電極探針を安定して製作できる手法を検討した。
この評価装置を用いて,導電性高分子であるポリヘキシルチオフェン(PHT)を用いたプレーナ型ショットキーダイオードAl/HT-PHT/Au構造,における電極間の電位プロファイルの精密測定を行った。この結果から,Al/HT-PHT界面の空乏層の存在が直接確認できた。さらにHT-PHT/Au界面にかかる微小電圧の観測からHT-PHT/Auの界面の接触抵抗の存在が明らかになりこれが素子の特性を決定する重要な要素になることが判った。


1九州工業大学大学院 生命体工学研究科
2分析計測事業部 応用技術部
3分析計測事業部 X線・表面ビジネスユニット
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。