島津評論 Vol.58[3・4](2001)
特集 バイオテクノロジー IV

特集論文

RISA384システムにおける開発技術

中村伸1狭間一1原田亨1山本林太郎1西根勤1

島津評論 58〔3・4〕 111~124 (2002.3)

要旨

ゲノム科学という分野が提唱され始めたのは今から6年前くらいだが,その頃,理化学研究所は全マウス遺伝子の重複のない完全長cDNAバンクとその全てのフルシーケンス情報バンクを備える「マウスエンサイクロペディア計画」をスタートさせた。その中で,島津製作所は科学技術振興事業団の戦略基礎研究のサポートを受けながら,大容量処理型DNAシーケンサ(RISAシーケンサ)を理化学研究所と共同で開発を行った。開発に着手した当時,384検体を同時に処理できる大容量型シーケンサは市販されていなかったため,独自のDNAシーケンサシステムの開発が必須であった。理化学研究所のマウスエンサイクロペディア計画の戦略に基づき,384(16×24)ウェルプレートを解析処理のフォーマットと定め,一日あたり40000検体を処理する能力を達成するため,384本のガラス毛細管(キャピラリー)を用いたキャピラリーカセットの,製造からゲルの充填,電気泳動分離を行い蛍光検出により検体の塩基配列の決定を行うまでの一連のDNAシーケンサシステムを開発の大目標とした。本稿では,その中で開発された特筆すべき技術について紹介する。


1分析機器事業部ライフサイエンス研究所
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。