島津評論 Vol.58[1・2](2001)
特集 半導体・フラットパネルディスプレイの検査・製造装置

特集論文

大流量排気型ターボ分子ポンプの開発

山口均1久保雅英1太田知男1長野善宏1伊藤喜直1

島津評論 58〔1・2〕 11~16 (2001.12)

要旨

著者らは,バックポンプと一緒に使用し,真空容器の内部を超高真空に排気する磁気軸受形ターボ分子ポンプを製品化してきた。

半導体製造プロセスの微細加工化,ウェーハサイズの大口径(300 mm)化に向け,大流量高速排気に対応できるターボ分子ポンプの要求が高まってきたため,大流量排気可能な新シリーズをラインナップしたので紹介する。

実機試作前に翼形状設計シミュレーション技術を確立し,目標とするガス排気流量特性を実現できるかどうかの検討を可能とした。

ターボ分子ポンプのロータ翼は複雑な形状をしており,しかも高速回転させるため,安全性を確保するために,大流量排気時のロータ温度を低減する必要がある。また,腐食性ガス排気用途向けに耐腐食性能を向上させる要求もある。ロータ温度低減と耐腐食性を向上させる分散メッキ技術を開発した。

電源装置には,新たに定格回転数の設定を変更できる機能を追加した。

ポンプ,電源装置とも従来機種に比べ大形化することなく大流量排気を可能としたことを特長とする。


1産業機械事業部 技術部
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。