島津評論 Vol.57[3・4](2000)
特集 医用画像機器XI

特集論文

ポジトロンCTにおけるEmission/Transmission同時収集

佐藤友彦1田中和己1北村圭司1天野昌治1三浦修一2

島津評論 57〔3・4〕 241~246 (2001.2)

要旨

最近のPET(Positron Emission Tomography)装置は,従来の研究目的の使用よりも,FDGを用いた癌の診断に積極的に用いられることが多い。これはFDGを用いたPET検査がCTやMRIに比べて,癌の鑑別能力に長けているからである。またFDGを用いたPET全身スキャンは,癌の鑑別以外に,腫瘍の悪性度の判定,癌の治療効果判定に有効である。しかし,悪性度や治療効果の判定には吸収補正が欠かせない。従来の検査法で吸収補正を行うと,PET全身スキャンの検査時間が長くなり,被験者に肉体的・精神的負担が掛かり苦痛を伴っていた。今回,FDGを用いたPET全身スキャンをターゲットとして島津製作所製PET装置SET-2000Wシリーズ(HEADTOME-V)にEmission/Transmission同時収集を臨床検査PET装置として世界で初めて実装し,FDG-PET全身スキャンにおける被験者の肉体的・精神的負担を軽減し,検査効率を大幅に向上させたので,その原理および有用性について報告する。


1医用機器事業部 技術部
2秋田県立脳血管研究センター 理博
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。