島津評論 Vol.57[3・4](2000)
特集 医用画像機器XI

特集論文

マルチスライスX線CT装置Mx 8000

関川克己1奥村義孝1味岡智美2桑原博2

島津評論 57〔3・4〕 233~240 (2001.2)

要旨

本稿では4スライスマルチスライスCTスキャナMx8000について述べる。 本機の特徴として,

  1. 0.5秒フルスキャン,4スライス同時撮像可能なハイスピードCTスキャナ
  2. 空間分解能24 lp/cm高分解能CTスキャナ

が挙げられる。それらを実現するために,数々のユニークな機構を有している。

X線検出器素子の構成として,体軸方向長さを不等ピッチ8列とすることで,6種類のビーム幅を確保しつつ,検出器素子間のギャップ数を減らしX線利用効率を向上している。本方式は,検出器回路を簡易化でき信頼性向上に寄与する。 また,検出器側のコリメータと検出器の間に特殊な構造をしたコリメータを挿入することで,検出器に入射する散乱線をカットし,24 lp/cmの空間分解能を達成している。

X線管球側のコリメータは,X線管球アノードの熱膨張によるX線ビームの体軸方向のずれを検出しこれを補正する機構をもち,被曝を増加させること無く正確な複数断面データを収集し画質劣化を補正できる。また,ヘリカルスキャンピッチは1~8まで選択でき,全身スクリーニング検査に有効である。

本機は,これらの特徴を生かすための豊富な臨床アプリケーションを有しており,CT検査のみならず,治療領域への応用までも視野に入れたシステムである。


1医用機器事業部 技術部
2医用機器事業部 応用技術部
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。