特集論文
ターボ分子ポンプの排気性能解析
島津評論 57〔1・2〕 97~101 (2000.8)
要旨
島津製作所では,半導体・液晶製造プロセスからの要求に応えるため,高真空域のみならず,0.1~10 Paの中真空域における大量の気体に対して高い排気性能を発揮する大流量排気ターボ分子ポンプのシリーズ製品を開発してきた。このようなターボ分子ポンプの開発には,タービン翼やねじ溝形状の設計最適化のための排気性能解析技術が必要不可欠となる。島津製作所ではこれまでに,分子流領域だけでなく遷移流領域にも対応した排気性能解析技術を確立し,実際のシリーズ製品の開発に活用している。
大流量排気ターボ分子ポンプは,タービン翼部とねじ溝部から構成されており,ポンプ全体の特性を把握するためにはこれらを組み合わせポンプとして解析する必要がある。今回確立した解析手法では,二次元翼列における積分方程式法による計算結果にストークス近似による補正を加えることで,ポンプ各段での最大圧縮比と最大排気速度を算出している。この計算手法による結果は,分子流から遷移流において実測性能と良い一致を示している。
1ソフトウェア開発センター
2産業機械事業部 技術部
※所属名は論文作成時のものです。
※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。