島津評論 Vol.57[1・2](2000)
特集 航空機搭載機器/数値解析・シミュレーション

特集論文

ホログラフィー技術を利用した
航空機搭載ヘッド・アップ・ディスプレイ用コンバイナ

神谷直浩1合田吉廣1

島津評論 57〔1・2〕 9~20 (2000.8)

要旨

島津製作所では,ホログラフィー技術を利用した航空機用ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)を開発し,1998年から量産を開始した。HUDは,航空機コックピットの前面に位置し,飛行情報を外景と重畳して表示することで,パイロットの視線移動負荷を低減して安全な運航を支援する装置である。新たに開発したホログラフィックHUD(H-HUD)では,従来の製品の表示視野範囲を拡大するとともに光の利用効率を高め,かつて不可能であった画像情報の表示を実現して,より一層の安全に寄与する。

この技術的革命の中心となった部品がホログラフィック・コンバイナであり,島津製作所は十有余年の社内研究を経て日本で唯一実用化を果たした。ホログラフィック・コンバイナは光の干渉縞を記録することによって製造され,物理的に研磨できない複雑な表面形状をした鏡として働く。干渉縞を安定して記録し,再現性の優れた量産を行うためには,高度に精密な製造技術と熟練が要求される。


1航空機器事業部 技術部
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。