島津評論 Vol.56[1・2](1999)
特集 センサ・デバイス

普通論文

細胞への遺伝子導入におけるエレクトロポレーションの応用

木元久1十川好志2草桶秀夫3

島津評論 56〔1・2〕 71~82 (1999.8)

要旨

本稿では,著者らの研究で得られた知見を中心に,エレクトロポレーションによる標準的な遺伝子導入法,遺伝子導入のメカニズム,最近の新しいエレクトロポレーションの応用例などについて述べる。

エレクトロポレーションは,遺伝子を簡便で効率よく,しかも再現性よく細胞に導入できることから,あらゆる細胞への遺伝子導入に利用されている。これまで200種以上の細胞に遺伝子導入が試みられている。遺伝子導入の効率を左右するエレクトロポレーションの因子は,1.高電圧パルス,2.細胞懸濁液,そして3.DNA分子の形態 の3つに大別される。これらの因子の中で,特に,パルス印加電圧と細胞懸濁液中の緩衝液組成が導入効率に大きな影響を与える。これらの因子を標準化したパルス印加条件は,バクテリアや動物細胞の遺伝子導入に大いに有用であると考えられる。膜穿孔による遺伝子導入のメカニズムについて,様々なモデルが提案されている。


1福井医科大学医学部医博
2ライフサイエンス機器部
3福井工業大学工学部工博
※所属名は論文作成時のものです。

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