島津評論 Vol.56[1・2](1999)
特集 センサ・デバイス

普通論文

Fmoc固相合成法による硫酸化チロシン含有ペプチドの直接合成法の開発

二木史朗1北川幸己2矢上健3山口実4

島津評論 56〔1・2〕 67~70 (1999.8)

要旨

近年,チロシン硫酸化はリン酸化と並ぶ一般的なタンパク質の翻訳後修飾の一つであることが明らかとなってきた。この生理的意義の解明のためには,硫酸化チロシン[Tyr(SO3H)]含有ペプチドが重要な役割を果たしうる。著者らは,その簡便さのために近年広く用いられるようになってきたFmoc(=9‐fluorenylmethoxycarbonyl)固相合成法を活用した硫酸化チロシン含有ペプチドの効率的な合成法を開発した。この方法は,Fmoc‐Tyr(SO3Na)の形でTyr(SO3H)残基をペプチド鎖に直接導入し,ペプチド鎖を構築した後,低温(0℃)下で trifluoroacetic acid(TFA)により脱保護を行い目的物を得るというアプローチをとる。この方法によって,代表的な硫酸化チロシン含有ペプチドであるCCK(コレシストキニン),ガストリン‐IIやこれらの関連ペプチドが容易に得られることを確認した。


1京都大学化学研究所薬博
2新潟薬科大学薬博
3国立医薬品食品衛生研究所薬博
4ライフサイエンス機器部
※所属名は論文作成時のものです。

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