島津評論 Vol.56[1・2](1999)
特集 センサ・デバイス

特集論文

電気化学式ガスセンサ
― 高感度NOx センサの開発と簡易環境測定への応用 ―

片所功1中西博昭1田原修1金丸訓明2佐藤秀樹2吉田多見男3

島津評論 56〔1・2〕 11~18 (1999.8)

要旨

環境大気中あるいは燃焼排ガス中のNOx 濃度の現場測定や,日常的な燃焼管理などへの応用を目的に,高感度NO・NO2 センサおよび携帯型計測器(226 mm×86 mm×40 mm)の開発を行った。

センサは室温で動作し高感度な定電位電解型を採用し,参照電極や対極の構造などを改良することにより小型化(φ22 mm×45 mm)を図った。また電極膜の検討を行い,環境大気測定に必要な10 ppbレベルのNOx 測定を可能にした。直線性(±2%フルスケール以下)および応答速度(90%応答で60 sec以下)などは,従来製品と同等の良好なレベルにあり,実際に燃焼器具からの排出NOx の測定などに応用できることが確認されている。

また,さらに小型化した定電位電解型センサ(φ15 mm×21 mm)を開発し,ポケットサイズの簡易型環境測定器(φ65 mm×34 mm)に応用した。この測定器によって,燃焼器具や自動車の排ガス,タバコの煙などの汚染ガス(主としてNO)の存在を検知することができた。


1基盤技術研究所
2生産技術研究所
3基盤技術研究所工博
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。