島津評論 Vol.55[2](1998)
特集 医用画像機器X

特集論文

角度可変型ガンマカメラシステム PRISM-IRIXとPRISM-AXISのVTテクノロジー

高橋宗尊1稲岡祐一1横井孝司1貴志治夫1天野昌治1

島津評論 55〔2〕 191~197 (1998.10)

要旨

現在医療分野で行われている核医学検査は非常に多岐にわたる。 これまでに普及してきたプラナー画像,全身画像,左室動態解析などの他,心筋や頭といった臓器のSPECT検査も数多く行われている。 それに伴いこれらの画像の画質やスループットの向上に対する意識も高まっており,これにどこまで対応できるかが検査装置選択の基準になっている。

最近,心臓検査のスループットを向上させるため,検出器を90゜L型に配置できる検出器角度可変型ガンマカメラが普及しつつある。 しかしながら,これらの装置ではコリメータ視野の制限のためにコーナーギャップが発生するのと,検出器どうしが接触する位置までしか患者に近接できないという問題点があった。

三検出器型ガンマカメラシステムPRISM-IRIXと二検出器型ガンマカメラシステムPRISM-AXISは,102゜L型配置,ならびに従来装置にはない新技術であるVT(VariableTangential)テクノロジーによりこれらの限界点をクリアした。 特にPRISM-IRIXは大視野三検出器型でありながら全身,脳SPECT,心臓SPECT,将来期待されるF18-FDG検査など,核医学で考えられる検査に対応でき,しかも高品位な画像を提供できる装置である。


1医用機器事業部 技術部
※所属名は論文作成時のものです。

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