島津評論 Vol.55[1](1998)
特集 産業機器II

普通論文

シングルカラム方式イオンクロマトグラフィーによる生体試料の測定

堂西宏紀1内山和久1谷村弘1増田潤一1西村雅之2

島津評論 55〔1〕 61~66 (1998.8)

要旨

ヒト体液(血清,胆汁,膵液,尿)中から,電解質のCa(2+) とMg(2+),微量元素であるFe(2+),Zn(2+),Mn(2+)イオン,およびNH(4)(+) イオンをイオンクロマトグラフィーにより一括同時定量する測定法を開発した。消化器疾患別には,肝機能別にみると,肝機能低下例では,健常例に比べて血清中総Zn濃度が低いのに反して,血清中Zn(2+) はむしろ高く,したがって,Znのイオン化率が有意に上昇していることが確認された。

今回考案した体液中イオンの一括測定法は,肝機能評価に応用でき,新しい診断法の1つとして有用であることが示された。


1和歌山県立医科大学附属病院 第二外科教室
2分析機器事業部 LC部
※所属名は論文作成時のものです。

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