島津評論 Vol.54[4](1997)
特集 食品分析・試験

特集論文

負化学イオン化法を用いたGC/MSによる食品中残留農薬の分析

北川幹也1堀伸二郎1宮川治彦2広岡恵3御石浩三3中川勝博4

島津評論 54〔4〕 281~288 (1998.3)

要旨

食品中残留農薬の分析では,規制対象となる農薬の数や食品の種類が増加する傾向にあり,前処理を含めた測定方法の省力化と迅速化が求められている。1997年に厚生省から食品中残留農薬の迅速分析法が示され,前処理の簡略化のためにゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるサンプルの精製法が採用された。ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)はガスクロマトグラフ(GC)の検出器として多成分同時分析法が可能であること,マススペクトルによる目的成分の確認が可能であることから,食品中残留農薬測定の簡略化と信頼性向上のための方法として期待されている。特に,負化学イオン化法(NCI)を用いたGC/MSは選択性の高いイオン化法であるため,夾雜物の多い食品中の残留農薬分析への適用が注目されている。

今回著者らは,GPCにより精製した実試料をGC/MSで測定した結果を検討し,特に負化学イオン化法が有効であることを確認した。


1大阪府立公衆衛生研究所食品化学課
2分析機器事業部商品企画室
3分析機器事業部技術部
4分析機器事業部応用技術部
※所属名は論文作成時のものです。

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