島津評論 Vol.54[2](1997)
特集 システム・制御・ネットワーク

普通論文

インテリジェント記録計 R700 シリーズ

小宮山裕1今井裕之1吉村紀之1岩佐千秋1

島津評論 54〔2〕 115~122 (1997.8)

要旨

工業用記録計は,プラントなどの稼動状態を示す信号波形を記録紙に記録する計器である。その構成は,大きく分けて,供給された信号を受信する入力部,入力された信号に応じて記録ペンを記録紙の所定位置に移動させるサーボ機構部,記録紙を一定速度で送る記録紙送り機構部を備える。

これまでの記録計では,回路がアナログ素子で構成されていたため,入力信号の種類や記録紙送り速度など,仕様に応じて機器のハードウェアを決定する必要があり,製造効率や保守部品の汎用性に問題があった。

新しく開発したインテリジェント記録計は,複数のマイクロプロセッサを搭載してソフトウェア処理を行うことで,さまざまな仕様をほとんど共通のハードウエアで満たすことを可能とし,製造効率や保守部品の汎用性を向上させた。さらに,非接触電磁誘導方式によるペン位置検出機構やペン速度演算を用いたサーボ機構のコントロール方式などの要素技術を用い,高性能・高機能を実現した。

本稿では,インテリジェント記録計の構成と動作原理について述べる。


1環境計測事業部 技術部
※所属名は論文作成時のものです。

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