島津評論 Vol.54[1](1997)
特集 ライフサイエンスと分析・試験

特集論文

MALDI-TOFMS によるタンパク質の酵素消化物の分析とデータベースによる検索

久保はるみ1山口実1大西正三1

島津評論 54〔1〕 17~23 (1997.3)

要旨

従来の質量分析装置に比べて測定質量範囲が広く,煩雑な操作や前処理を必要とせずに高精度のデータが得られるMALDI-TOFMS(Matrix assisted laser desorption ionization time of flight mass spectrometry)は,今日タンパク質やペプチドの研究で積極的に利用されるようになってきている。

本稿では,溶液状態のタンパク質および SDS-PAGE(Sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis)後,PVDF(Polyvinylidene Difluoride)膜にエレクトロブロッティングしたタンパク質をそれぞれ酵素消化し,それらの酵素消化物を MALDI-TOFMS 分析した後,データベース The Peptide Mass Database MOWSE で検索し,実際にタンパク質の特徴づけが可能か検討したので報告する。また,酵素消化物の MALDI-TOFMS 分析の際,緩衝液中の成分がサンプルのイオン化を妨げる場合があるので,それらの影響を容易に回避できる分析条件についても検討したので併せて述べる。


1分析機器事業部 応用技術部
※所属名は論文作成時のものです。

※島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。