ニュース

LC-MS/MS用免疫抑制剤分析キット「DOSIMYCO」
 

LC-MS/MS用抗血液凝固薬分析キット「DOSINACO」

島津製作所は、トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計（LC-MS/MS）用の分析キット「DOSIMYCO（ドズィミコ）」「DOSINACO（ドズィナコ）」を発売します。両製品は、LC-MS/MSで「血中薬物モニタリング（TDM）」^※に必要な試薬、移動相、カラムなどをそろえたオールインワンのキットです。「DOSIMYCO」はミコフェノール酸およびその代謝物が測定対象です。ミコフェノール酸は心臓や腎臓などの臓器移植の拒絶反応を抑え込む免疫抑制剤です。「DOSINACO」は血栓の治療や予防に用いる抗血液凝固剤が測定対象となります。個別に試薬を購入したり、調製したりという手間が省けるため、病院の臨床検査部や薬剤部、大学医学部、臨床検査会社などにおける業務効率化につながります。両製品は、2017年に買収した仏試薬会社 Alsachim SAS （以下、ALC社）による製品としては第2弾、第3弾となります。

近年、複数の薬剤を高精度で同時分析できるという特長が評価されて、疾患の早期診断や微量薬物の濃度測定におけるLC-MS/MSの利用が増えてきました。臨床活用例の1つがTDMです。例えば、臓器や造血幹細胞の移植治療では、拒絶反応を制御するために免疫抑制剤が投与されます。ただし、過剰な投与は免疫を必要以上に抑制してしまい、病原体の感染という副作用につながります。そこで投与後は血中の薬剤濃度を測定・監視して、投薬量を緻密に管理するTDMが不可欠になります。欧米ではTDMでのLC-MS/MS利用が普及しており、国内でも拠点病院を中心に医療機関での導入が始まっています。

島津製作所でも臨床分野での導入に対応するため関連製品の医療機器登録を進めてきました。2015年に高速液体クロマトグラフ質量分析計「Nexera LC-MS/MSシステム」が、2017年に検体前処理装置「CLAM-2000 CL」が、いずれも医薬品医療機器法におけるクラスⅠ医療機器として登録されています。さらに当社は2017年6月に独現地法人Shimadzu Europa GmbHを通じてALC社を買収しました。2018年12月に発売した買収後の第1弾製品「DOSIMMUNE（ドズィミューン）」は、4種類の免疫抑制剤（タクロリムス、シクロスポリンA、エベロリムス、シロリムス）のTDM用の分析キットでした。前処理や分析時の試薬調製の煩雑さや分析結果のバラツキを解消できると同時に、濃度の測定業務を高度に標準化できます。全自動LCMS前処理装置「CLAM-2030」とLC-MS/MSを組み合わせると業務効率がさらに向上します。

• ※血中に占める薬物の濃度を測定することで、薬効や副作用を把握して用法・用量を調製する行為

新製品の特長

1. 正確な測定が可能に

LC-MS/MSによるTDMは、従来の分析法（イムノアッセイ）と比べて血中の一次代謝物との交差反応の影響を受けにくく、高い特異性を確保できます。

2. 薬剤濃度を同時計測

「DOSIMYCO」は、免疫抑制剤(ミコフェノール酸およびその代謝物であるミコフェノール酸β-D-グルクロニド)の血中濃度をLC-MS/MSによる一度の分析で同時に測定できます。「DOSINACO」も、抗血液凝固薬9剤（アセノクマロール、フルインジオン、ワルファリン、ダビガトラン、アルガトロバン、エドキサバン、アピキサバン、リバーロキサバン、ベトリキサバン）の血中濃度を一度の分析で同時に測定できます。

3. 業務負担を軽減

内部標準を含めて必要な商品が揃ったオールインワンの分析キットなので、購入後にすぐにお使いいただけます。さらに検体前処理装置「CLAM-2000 CL」と組み合わせれば、採血管をそのままセットすることで全自動で前処理と分析が可能となり、臨床現場の「働き方改革」につながります。

詳しい製品説明についてはこちら