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2019年4月10日 | プレスリリース
モジュール型製造装置を連結したコンビニサイズの連続生産設備「iFactory」の開発事業を加速
~医薬品原体の生産量を柔軟に変更できるオンデマンド生産の実現に貢献~
株式会社 高砂ケミカル(本社:東京都大田区 代表取締役社長:齊藤 隆夫)、田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪府大阪市 代表取締役社長:三津家 正之)、コニカミノルタケミカル株式会社(本社:静岡県袋井市 代表取締役社長:伊藤 博英)、横河ソリューションサービス株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:村井 哲也)、テックプロジェクトサービス株式会社(本社:千葉県習志野市 代表取締役社長:今西 隆美)の参画企業5社で共同提案した「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用iFactory(アイファクトリー)の開発」(以下、本事業)が2018年5月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の平成30年度「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」(以下、本プログラム)に採択されたことを受け、本事業を加速させるため、大成建設株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:村田 誉之)、株式会社 島津製作所(本社:京都府京都市 代表取締役社長:上田 輝久)、三菱化工機株式会社(本社:神奈川県川崎市 取締役社長:髙木 紀一)の3社が2019年4月より参画します。なお、本事業は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)・触媒化学融合研究センターとの共同研究を含みます。
加えて、特定目的会社「株式会社iFactory」を設立、「iFactory」の普及を行います。
本プログラムは、省エネルギー型経済社会の構築と産業競争力の強化に寄与することを目的に、経済産業省がNEDOと策定した「省エネルギー技術戦略」に掲げる「重要技術」を中心として、高い省エネルギー効果が見込まれる技術開発やその事業化を支援するものです。このたび、本プログラムの技術開発テーマの一つとして取り組んでいる「再構成可能なモジュール型単位操作の相互接続に基づいた医薬品製造用iFactoryの開発」は、医薬品製造において、現在のバッチ型※1に替わり、連続合成法※2、バッチ連続型を組み合わせた連続生産方式を採用したモジュール型の製造設備「iFactory」を開発、普及させることにより、医薬品製造のためのオンデマンド生産による効率化と、それに伴う二酸化炭素の排出量の大幅な削減を目指すものです。実施期間は、2018年7月から2023年2月までの5年間を予定しています。
医薬品原体の現在の主な製造プロセスはバッチ型ですが、複雑な構造を持つ化合物の合成が可能である一方で、各段階で中間体の分離・精製操作を繰り返すため、多くのエネルギーや労力を必要とし、廃棄物も大量に排出されるという課題がありました。そこで8社は、原料投入からパッケージングまでを一貫して連続製造することを目指し、反応・洗浄・溶媒交換、晶析・ろ過・乾燥などの必要な単位操作※3を行う装置をキューブ型のフレームに収納したモジュール「iCube」を開発し、それらを相互に連結させて製造ラインを構築する、コンビニサイズの連続生産設備「iFactory」の開発とその普及に取り組むことにしました。
「iFactory」はシステムキッチンのような汎用性の高いシステムファクトリーであり、かつ、原料の変更や生産品目の変更に応じてユニットの種類や配置を変更して製造ラインを再構成し、必要な製品を必要な分量だけ生産できる柔軟なオンデマンド商用生産を実現します。現在、海外の大手製薬メーカーが進めているオンデマンド生産手法は複数ありますが、商用生産規模では品目や生産量の変更に際して単位操作の入替ができないために機器の再配置や機器間の配管組み換えが必要で、プラグ&プレイの自動化がされないという課題があります。また、原料として気体と液体やその混合物は扱えるものの、固体の扱いが必要となる製造プロセスの後段単位操作※4にも多くの課題が残されています。
一方「iFactory」は、装置の再構成と配管の繋ぎ変えが容易にできることに加え、固体と液体の混合物の反応・精製や固体の乾燥など、固体の単位操作を可能とすることが優位性の一つです。このように、「iFactory」は医薬品製造プロセスにおいて汎用性が高く、かつ公益的に生産性向上に大きく寄与し、実験室で開発された新たな技術をいち早く実生産へと繋げる連続生産システムであるということが特長です。また、本事業は異業種8社の連携により各社の得意技術を企業の壁を越えて集約し、各社利益を尊重しつつも日本における省エネルギー、持続性社会の構築に貢献することを目的としております。
各社の役割
● 株式会社 高砂ケミカル:
医薬品製造用装置「iFactory」開発の統括に加え、単位操作を行うモジュール型反応装置「iCube」フレームの開発、および連続晶析-ろ過を行う単位操作の開発
● 田辺三菱製薬株式会社:
置換濃縮プロセスを行う単位操作の開発
● コニカミノルタケミカル株式会社:
連続抽出(油水分離・洗浄)プロセスを行う単位操作の開発
● 横河ソリューションサービス株式会社:
医薬製造用「iFactory」の制御システム、製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)、品質管理システム(Laboratory Information Management System:LIMS)、およびエネルギー管理システム(Energy Management System:EMS)の構築
● テックプロジェクトサービス株式会社:
医薬品製造用「iFactory」における単位操作のうち、連続分液、連続溶媒置換、連続晶析、連続固液分離を行うモジュール型反応装置「iCube」の設計・開発
● 大成建設株式会社:
再構成可能なモジュール型「バッチ連続式ろ過乾燥機」、「連続充填装置」、の開発、および「iFactory」建屋・用役システムの構築
● 株式会社 島津製作所:
医薬品製造用「iFactory」に使用する防爆構造サンプリングユニットとオンライン高速液体クロマトグラフの開発
● 三菱化工機株式会社:
再構成可能なモジュール型「連続ろ過機」、「連続乾燥機」の開発、およびろ過機から乾燥機への移送機構の開発
※1 バッチ型:
化成品や精密化学品などの化学製品の主要な生産方法。全ての原料などを反応釜に投入し、物質の反応がすべて終了した後に生成物を取り出します。これを繰り返すことで化合物が合成されます。
※2 連続合成法:
出発原料を連続的に投入し、生成物を他端から連続的に得る生産手法。省エネルギー、省資源など持続可能なものづくりの手法として期待されています。
※3 単位操作:
化学製品の製造プロセスにおける反応、洗浄・溶媒交換、晶析、ろ過、乾燥などの個別の操作の総称
※4 後段単位操作:
反応操作後の洗浄、溶媒置換、晶析、ろ過、乾燥などの操作
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