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2022年4月12日 | お知らせ 廃木材の炭化による温室効果ガス排出量の削減効果が初めて評価されました

島津製作所では、生物の活性化及び環境の改善や、安定度の高い炭素そのものを土壌や水中に長期間にわたり封じ込める効果があるものとして、世界的に注目されている「バイオ炭(Biochar)」の取り組みを2006年から進めてまいりました。このたび、ライフサイクルアセスメント(LCA)の研究者である立命館大学政策科学部の中野勝行准教授の試算により、当社の取り組みがCO2排出量の削減に効果があることが認められました。

当社は循環型社会に貢献するため、2006年から事業活動で発生した廃木材を炭化して土壌改良剤に再生し、事業所内の緑地で利用してきました。また、2016年からNPO法人瀬戸内オリーブ基金に炭を寄贈しており、同基金が運営する豊島内5か所のオリーブ畑で使用されています。2021年からは、京都市内の農園でもテスト利用がスタートしました。
当社では、現在進めている取り組みの気候変動問題への効果を図るためにLCA評価を行ないました。

オリーブ基金が運営するオリーブ畑での施用

立命館大学政策科学部の中野勝行准教授による評価

当社の炭を最も遠方で利用している瀬戸内オリーブ基金について、炭1kgに対する運搬時のCO2排出も踏まえた排出量を試算していただきました。以下のとおりCO2削減効果が1.26kg-CO2eと試算されました。当社は、毎年780kgの炭を同基金に寄贈しており、年間982kg-CO2eのCO2削減効果となります。この量はスギ 約70本分の年間CO2吸収量に相当します。

<試算内訳>

(1) 製炭時のCO2排出量 0.65kg-CO2e
(2) トラック輸送でのCO2排出量 0.07kg-CO2e
  トラック輸送距離 240.8km  
(3) 船輸送でのCO2排出量 0.01kg-CO2e
  船舶輸送距離 21.5km  
(4) 施用効果 -1.99 kg-CO2e
合計( (1) + (2) + (3) + (4) ) -1.26 kg-CO2e

中野先生からのコメントは次のとおりです。
2050年のカーボンニュートラル社会へ向けて、温室効果ガス排出量の削減は喫緊の課題です。しかし、一部の産業活動では化石燃料由来のCO2排出量を完全にゼロにすることは困難であるため、何らかの方法を用いて大気中のCO2を固定化する活動が必要だとされています。
バイオ炭の農地施用は大気中のCO2を長期貯留する温暖化対策技術として有望な技術の一つです。使用済みパレット等を原料とし、企業自らの責任でバイオ炭の製造・農地施用まで行う活動のCO2固定効果を可視化した事例は他になく、新たな選択肢として注目すべき活動と言えます。

 

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