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2022年1月31日 | プレスリリース
京都大学発ベンチャーのリジェネフロに出資
iPS細胞を用いた腎疾患の細胞療法の開発に協力
島津製作所は、京都大学発ベンチャーであるリジェネフロ株式会社(本社:京都市、代表取締役:石切山俊博)に出資いたしました。当社は昨年11月、同社および国立大学法人京都大学iPS細胞研究所(本部:京都市左京区、所長:山中伸弥)、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(本部:京都市左京区、理事長:山中伸弥)、日機装株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:甲斐敏彦)とネフロン前駆細胞※の品質および製造工程のモニタリング方法の開発に関する共同研究契約を締結しています。
リジェネフロはこのたび実施した第三者割当増資によって、三菱UFJキャピタル株式会社、京都大学イノベーションキャピタル株式会社、ジャフコ グループ株式会社、エムスリー株式会社、旭化成株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、DM Capital Ltd.、株式会社ヘルスケア・イノベーション、京銀リース・キャピタル株式会社、中信ベンチャーキャピタル株式会社、株式会社ヤム・オーバーシーズおよび当社の計12社から、その会社本体もしくは運営する投資事業有限責任組合を通じて総額13億9200万円の資金を調達しました。
同社は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)増殖分化機構研究部門の長船健二教授の研究成果を基に設立されたベンチャー企業です。長船教授は胎生期の腎前駆細胞の一種であるネフロン前駆細胞の存在を世界で初めて発見したのを皮切りに、iPS細胞からネフロン前駆細胞を高効率に作製する技術の確立などに成功してきました。社会の高齢化とともに慢性腎臓病(CKD)に苦しむ患者は増加しており、日本の成人人口の13%、約1,300万人に達しています。治療に有効な医薬品や技術は、深刻なドナー不足の問題を抱える腎移植を除いて、現時点ではほとんど存在せず、対症療法を施すしかありません。CKDが悪化すると人工透析が必要になりますが、人工透析の患者数も増加しており、その医療費は年間1兆5,000億円を超えています。
長船教授が発明したiPS細胞由来ネフロン前駆細胞は、動物実験において腎障害を改善する効果を示しています。リジェネフロは今後、iPS細胞由来ネフロン前駆細胞を有効成分とする細胞医薬の実用化に取り組み、CKDを適応症とする承認取得を目指します。同社はこのたびの資金調達により、iPS細胞由来腎前駆細胞を用いた細胞療法の実用化に向けた非臨床試験用製剤の製造およびこれを用いた安全性試験の実施が可能となります。島津製作所は共同研究を通じた技術面およびこのたびの出資による資金面でリジェネフロを支援してまいります。
※ 腎臓において尿を産生するネフロン(糸球体と尿細管)という組織を作り出す細胞。 尿の排出路である尿管の元になる細胞や、腎臓組織の隙間を埋める間質の前駆細胞は別に存在する
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リジェネフロの概要
リジェネフロ株式会社
代表取締役:石切山 俊博
住所:京都市左京区吉田下阿達町46-29 京都大学医薬系総合研究棟
事業内容:腎疾患治療薬の研究開発・生産・販売
設立:2019年9月
URL:https://www.regenephro.co.jp