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2019年4月9日 | プレスリリース 「AVS支援システム」(研究用途向け)の展開を開始
分析技術と医用技術を融合したヘルスケア事業を推進

AVS支援システム

島津製作所は、血管撮影システムによって得たX線画像と液体クロマトグラフ質量分析計システム(LC-MS)による分析結果を融合記録し、効率的かつ迅速な血液分析を実現する研究用途向けの「AVS支援システム」を4月9日に発売します。

本システムは、X線画像と分析結果を融合して記録するソフトウェア「Sampling Viewer(サンプリングビューワー)」、液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8050」システムおよび制御用ワークステーション、LC-MS用ソフトウェア「AVSsolution(エーブイエスソリューション)」から構成される、東北大学と共同開発した研究用システムです。

血管撮影システムで体内を透視しながらカテーテルで副腎から採血し、その位置を「Sampling Viewer」でX線画像上に記録します。その後、当社の「LCMS-8050」システムで採取した血液中の成分を分析し、「AVSsolution」でデータを処理することで、世界で初めて採血部位ごとのX線画像と質量分析装置による分析結果を紐づけて登録できるようになります。LC-MSの採用により、効率的かつ迅速な血液検査の実現が期待できます。

近年、血管撮影システムやカテーテル技術の進歩によって、局所的に体内の血液を採取可能になりました。また、質量分析装置の性能が向上し、生体試料に含まれる成分を素早く高感度に検出できるようになりました。東北大学では、これらの手法を組み合わせ、副腎の複数箇所から血液をカテーテルで採取し、LC-MSによって成分を分析することで、アルドステロンというホルモンの分泌量を部位ごとに随時測定しています。こうして得たデータと、高血圧の原因のひとつとされる原発性アルドステロン症の関連性が研究されています。

このような東北大学の取り組みは、分析計測事業と医用機器事業を組み合わせて独自のヘルスケア事業を推進する当社の方向性と一致し、共同開発が実現しました。

当社は、カテーテルによって血液採取を行っている医療機関に「AVS支援システム」を提案し、ヘルスケア分野でLC-MSの展開を進めていきます。また、4月12日から14日にパシフィコ横浜で開催される「2019国際医用画像総合展(ITEM 2019)」に本システムを出展します。

※ AVS:Adrenal Venous Sampling(副腎静脈サンプリング)の略

新システムの特長

1. 効率的かつ迅速な血液分析を実現

本システムを活用し、採取した血液をすぐに「LCMS-8050」システムで分析することで、迅速に成分の測定が可能です。また、X線画像と分析結果の双方を用いることで、意図通りの位置から採血ができたかを効率的に確認できます。従来は、外部の受託分析機関に血液検体を預ける必要があり、結果が手元に戻るまでに数日ほど要することが一般的でした。これに対し、本システムを用いることで、血液の採取から分析結果を得るまでの一連の作業を同一の医療機関内で随時実施できます。

2. X線画像と分析結果を紐づけて管理可能

副腎における採血位置と血液成分の分析結果を紐づけて管理できます。従来は血液の採取位置と分析結果を別々に管理し、手作業で一致させる必要がありましたが、本システムはシームレスな連携を可能にします。血管撮影システムによって得たX線画像と液体クロマトグラフ質量分析計システムによる測定結果の紐づけの実現は世界で初めてです。

 
「AVS支援システム」の価格 6,000万円~(税別、血管撮影システムは含まず)

 

本プレスリリースに記載のソフトウェアならびに液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8050」システムは、医薬品医療機器法に基づく医療機器として承認・認証等を受けておりません。治療診断目的およびその手続き上での使用はできません。
 

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