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2019年1月11日 | プレスリリース 薬物や代謝物の迅速な検出が可能に
探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計を発売

写真:探針エレクトロスプレーイオン化ユニットを搭載した
質量分析計「LCMS-8060」

 

写真:PESI法の専用ユニット「DPiMS-8060」(取り付け時)

 

島津製作所は、探針エレクトロスプレーイオン化ユニットを搭載した質量分析計を発売します。同製品は、別売の専用ユニット「DPiMS-8060」によって「探針エレクトロスプレーイオン化法」(Probe Electro Spry Ionization、以下PESI法)を可能にしました。PESI法は2007年に開発された手法で、細い針で微量の分析対象物を採取して、高電圧をかけてイオン化します。クロマトグラフを介さずにイオン化するので、準備の手間や分析時間が短縮化できます。

通常、質量分析計による測定には溶媒やカラムを準備したり、試料の濃度を把握したりする前処理が必須ですが、分析現場では「手軽で迅速な測定」への要望が根強くありました。PESI法を始めとする直接イオン化方式は、たんぱく質の除去やサンプルの希釈・遠心分離などの前処理を最小限にできます。そのため、簡便さや迅速性といった特長を活かしたリアルタイムモニタリングなどに適しています。具体的には「異物混入の有無や内容物の詳細を知りたい」といった法医学や「病態の違いの原因物質を確認したい」といったヘルスケア分野での利用が想定されます。

探針エレクトロスプレーイオン化ユニット「DPiMS-8060」は、「LCMS-8060」「LCMS-8045」「LCMS-8050」という液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)3機種に搭載できます。当社は2017年9月、シングル四重極型LCMSをベースにしたPESI法専用質量分析計「DPiMS-2020」を発売しました。今回発売する探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計は、「PESI専用ではなく通常のLCMSとしても使いたい」「より高精度な分析にも使いたい」という要望に応えるためにLCMSとして最高級のトリプル四重極型をベースに開発しました。同製品は、専用ユニット「DPiMS-8060」を取り外すと、通常のLCMSとしてもお使いいただけます。島津製作所は2019年度に国内外で探針エレクトロスプレーイオン化搭載の質量分析計について販売目標10台を目指していきます。

質量分析では分析対象物の原子・分子をイオン化し、その各々の質量と数を測定します。

新製品の特長

1. 簡単な前処理によってすぐに分析

サンプルプレートに添加した試料から、直径700nmの探針で10pl以下の微量な液体を取り出し、自動で測定します。

2. 合成反応や酸化など物質の劣化をモニタリング

加熱などを伴わず、サンプルの状態を変えません。また、サンプル採取量が少ないためプレート上での経時変化を確認可能です。

3. 汚染に強い

イオン化に必要な量が少ないため、高濃度のサンプルが一度にたくさん質量分析計に入ることがなく汚れにくいです。事前の濃度調整が不要となり、簡単で迅速な測定を実現します。

4. 通常のLCMSとしても使用可能

専用ユニットを外せば、トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計としても使えるため、1台で2種類の分析をこなします。専用ユニットだけの購入も可能です。

 

当社は、科学技術振興機構(JST)先端計測分析技術・機器開発プログラムで山梨大学医学部の竹田扇教授らと開発した迅速病理診断支援システムの技術を転用し、「DPiMS-2020」「DPiMS-8060」を完成しました。PESI法は2007年に山梨大学の平岡賢三教授が開発した手法です。

 

名  称 探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計
価  格 6500万円(質量分析計部分が「LCMS-8060」の場合、PCを含む)、600万円(PESI法専用ユニットのみ、質量分析計部分なし)

 

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