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2019年10月7日 | プレスリリース 米製薬団体との共同開発で研究開発現場のニーズを反映
セミ分取超臨界流体クロマトグラフ「Nexera UC Prep」を発売

Nexera UC Prep

島津製作所は、10月7日にセミ分取超臨界流体クロマトグラフ「Nexera UC Prep(ネクセラ ユーシー プレップ)」を発売いたします。試料から特定の物質を分離・精製する「分取」は、創薬における目的化合物や不純物の抽出、化学・食品では機能性成分の抽出に不可欠な工程です。超臨界流体クロマトグラフ(SFC)による分取は、液体と気体の両方の性質を持つ超臨界流体状態の二酸化炭素を用いることで、液体クロマトグラフ(LC)による分取より早く分取作業が完了するという特長があります。そのため「製薬の開発部門における合成物」「天然物からの香料・色素成分」の分取精製に適しています。「Nexera UC Prep」は、米国の大手製薬企業のコンソーシアム「Enabling Technologies Consortium」(ETC)との共同開発製品です。

「Nexera UC Prep」は、世界初となる卓上サイズのセミ分取SFCシステムです。目的化合物の回収が容易なSFCの特性を生かして、LCによる分取精製と比べて、約半分から5分の1の工数で粉末を回収できます。独自の「LotusStream機構」によって、溶液の飛散を抑えることで、目的化合物の回収率を95%以上に改善しました。クロマトグラムを見ながらの直感的な分取条件設定が可能な専用ソフトウェア「Prep Solution」は、スムーズな操作を実現します。

「Nexera UC Prep」は、数種の目的化合物の分取を効率良く行う「スタックフラクションシステム」と、多数の成分を網羅的に分取する「マルチフラクションシステム」の2タイプを用意しています。島津製作所は、「Nexera UC Prep」について、発売後1年間に国内外で20台/5.6億円の売り上げを目指します。

ETCは2016年に医薬品の研究開発に必要な新技術の開発と評価を目的のために発足しました。現在、創薬の前段階におけるコラボレーションを図るために米大手製薬13社が参画しています。課題ごとにプロジェクトを立ち上げて、企業の壁を越えて情報を共有し、パートナーを公募して技術開発に取り組みます。島津製作所は、2017年にETCが公募した「セミ分取超臨界流体クロマトグラフ技術の開発」において唯一のパートナーに選定され、ETCと共同で「Nexera UC Prep」開発を進めてきました。装置のユーザビリティ―やソフトウェアはETCの要望をもとに設計され、「当社による試作」と「ETCによる評価」を重ねることで、高性能の実現だけでなく、実際の運用形態を製品に反映しました。なお、本製品は世界最大級の分析計測装置の展示会「PITTSCON 2019」(本年3月17~21日、フィラデルフィア開催)で最優秀新製品賞に相当する金賞(大企業部門)を受賞しています。

一般的に研究現場での分取は、回収する量に応じて「微量分取(数ミリグラム~数十ミリグラム程度)」と、「セミ分取(数百ミリグラム~1グラム程度)」とに区別されます。

二酸化炭素の超臨界流体の概念図

新製品の特長

1. 独創的な技術による高い回収率

独創的な気液分離機構「LotusStream機構」を開発。超臨界状態の二酸化炭素が膨張して気化する時の溶出液飛散による回収率低下を抑制して、揮発性成分でも高い回収率を実現します。

2. 分取ワークフローに沿った簡単操作

直感的な分取設定を可能とする専用ソフトウェア「Prep Solution」は、熟練度によらず狙ったピークの確実な分取を支援します。分取精製に特有のパラメータ設定を減らして、経験が浅い作業者でも楽に操作できます。

3. コンパクトな卓上型

一般的な分取SFCに必要な外付けの冷却装置を排して、小型の装置を「Nexera UC Prep」に組み込むことで、卓上型サイズへのコンパクト化を実現しました。

名  称 セミ分取精製超臨界流体クロマトグラフ「Nexera UC Prep」
価  格 2800万円~(税別、ワークステーション込み)

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