ニュース

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2019年12月26日 | プレスリリース 質量分析技術を用いた新しいがん免疫療法の確立へ
米プロビデンスがん研究センターとの共同研究を本格化

島津製作所は、米国のプロビデンスがん研究センター(Providence Cancer Institute,オレゴン州ポートランド、以下Providence)と共同で「質量分析技術を用いた新しいがん免疫療法」の研究開発を進めていきます。研究では頭頚部、肺、腎などのがんを標的としています。

がん免疫療法において、個別患者に対する治療効果の最適化は、がん治療の根本的な改革につながります。当社とProvidenceは、免疫療法における個々人のがんの目印(抗原)や治療薬の体内動態を識別する技術開発を行います。これらの技術は、個別化医療の技術確立に貢献できると考えています。

共同研究は、2018年1月から当社の米国子会社Shimadzu Scientific Instruments, Inc.のイノベーションセンターが中心となって進めてまいりました。同年10月にワシントン州ボセルにバイオサイエンスラボ(Shimadzu Bioscience Research Partnership)を開所し、2019年8月にミクロ流量対応の液体クロマトグラフ質量分析システム「Nexera Mikros」、液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-9030」など当社の最新分析装置を設置し、がんの抗原を直接同定するシステムを稼働させました。免疫が直接認識する抗原情報を当社の質量分析技術により取得し、Providenceが解析を得意とする遺伝子や細胞情報と統合し、新たな治療法の開発につなげていきます。

当社の強みである質量分析技術は、創薬・臨床分野で重要な多数の成分を一度に測定する技術です。当社とProvidenceの共同研究は、前処理キット「nSMOL Antibody BA Kit」などの技術・製品を応用し、個人の免疫システムが認識するがんの抗原を正確に同定し、抗体医薬の動態を精密に分析していくというものです。研究は2018年からの3カ年計画を予定しており、Providenceなどの臨床拠点における治験導入を目指します。

Providenceのブライアン・ピーニング博士やベルナルド・フォックス博士らは、「Providenceが誇る最先端のがん研究開発と、島津の分析技術を高度に融合することで、がんの微少環境に着目した新しい治療法開発に貢献し、個別化免疫治療の実現へと大きく前進します」と話しています。

  • ※高速液体クロマトグラフ質量分析計とともに用いると、簡便に高精度な抗体医薬の動態解析が可能

Providence Cancer Instituteについて

Providence St. Joseph Healthの一機関であり、がん領域に関する最新の診断、治療、予防、教育、支援、国際研究を展開しています。オレゴン州ポートランドのRobert W. Franz Cancer Centerに世界最先端の研究施設を有しています。1993年の設立以来、がん免疫治療研究開発の分野で世界をリードしてきました。西海岸の医療機関・研究施設と提携を進め、非営利病院機構における全米第3位の規模となっています。
ウェブサイト:providenceoregon.org/cancer

質量分析技術を用いた新しいがん免疫療法の確立へ 米プロビデンスがん研究センターとの共同研究を本格化

バイオサイエンスラボに設置済みの
高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-9030」