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2019年3月15日 | プレスリリース
データの信頼性・ユーザビリティ・業務生産性を向上
超高速液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」を刷新
島津製作所は、超高速液体クロマトグラフ「Nexera(ネクセラ)シリーズ」の新モデルを発売いたします。超高速液体クロマトグラフのベンチマークになることを目指し、高性能ハードウェアに加えて、IoTや各種センシング技術を取り入れました。2010年に初めて発売した「Nexeraシリーズ」は、高い基本性能をご支持いただき、幅広い用途でお使いいただいてきました。このたび発売する同シリーズは、さらなる性能向上によって、分析現場に貢献いたします。
近年、液体クロマトグラフ(LC)が利用される現場には様々な課題が存在します。新しい「Nexeraシリーズ」は、それらの中でも特にニーズが高い「分析データの信頼性」「ユーザビリティ」「分析業務の生産性」を改善して課題を解決いたします。
まず「分析データの信頼性」向上につながる設計の工夫を随所に盛り込みました。低キャリーオーバー※1性能や検出器のベースライン安定性、ダイナミックレンジ※2などが改善され、特に微量成分の分析への対応を強化しました。「ユーザビリティ」の面では、大型タッチパネルからの装置制御を可能にして、遠隔操作が簡単になりました。装置高を抑えて溶液ボトルの交換における負担も軽減しています。また、IoTやセンシング技術を駆使して、分析時のトラブルを防ぎます。例えば、移動相残量モニタはボトル内の溶液残量を常時測定して、不足を作業者に通知して残量不足による分析ミスを防止します。
「分析業務の生産性」は、高性能カラムと新開発のオートサンプラを含んだ装置構成で向上を図りました。超高速分析を可能にして、分析時間を短縮するだけでなく溶媒の使用量も削減します。装置内スペースを有効活用する設計により、設置面積を40%減らしながら、オートサンプラの試料搭載数は1.5倍に増やしました。また従来比4倍の最大約17,000検体搭載可能なプレートチェンジャと組み合わせることで、創薬現場で不可欠なハイスループット※3分析や臨床現場で求められる超多検体処理に対応しています。島津製作所は、「Nexeraシリーズ」について、発売後1年間に国内外で企業や研究機関、大学向けに7500台/350億円の売り上げを目指します。
※1 | 試料が装置に残存して次の分析に影響を与える現象 |
※2 | 信頼の高い結果を得られる測定範囲 |
※3 | 高いデータ処理能力を持つ |
新製品の特長
1. 分析データの高い信頼性
キャリーオーバーを従来比1/5に低減しました。また多波長を一度に分析できるフォトダイオードアレイ(PDA)検出器では、当社独自の光学系温度調整機能により、温度変化の影響を受けにくい安定したベースラインを実現しています。さらにPDA検出器は迷光などのノイズを1/3以下に低減して、吸光度のダイナミックレンジを従来から25%拡大しました。その結果、従来は希釈率を変えて複数回に分けていた高濃度主成分と微量不純物の定量分析が一度に行えるようになり、生産性向上とランニングコスト削減に貢献します。
2. 洗練されたユーザビリティ
大型タッチパネルを搭載したコントローラにより、PCを置かないラボでも装置の前で簡単に操作ができ、スマートデバイスによる遠隔モニタリングも可能です。準備作業時にカラム温度に連動して移動相の流量を自動で変化させることにより、カラムへの負荷を軽減します。移動相残量モニタは移動相の残量を常時測定し、必要量に満たない際は作業者にメールで警告したり、スマートデバイスに残量を表示したりすることで、移動相不足による作業中断を回避します。
3. 「超高速&超多検体」による生産性向上
分析サイクルタイム7秒を達成する「Nexeraシリーズ」の超高速オートサンプラと新型カラムは、分析時間の短縮による生産性向上を支援します。さらに「Nexeraシリーズ」は設置面積を40%まで減らしたにも関わらず、標準的な構成で検体搭載数を従来比1.5倍に増やし、最大3台まで増設可能なプレートチェンジャと組み合わせることで、「超高速&超多検体」分析を実現します。従来2台のLCで実行していた分析を1台のシステムに集約した「デュアルインジェクション機能」は,異なる条件での分析データを一度に取得し、トータルの分析時間を削減します。