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2020年6月3日 | プレスリリース がんの早期診断システム開発を目指して
兵庫医科大学と産学連携講座を設置

兵庫医科大学内の産学連携講座実験室

兵庫医科大学内の産学連携講座実験室

島津製作所は、超高齢化社会に伴う医療費の増大抑制や健康寿命の向上による一億総活躍社会の実現に向けて、兵庫医科大学(兵庫県西宮市、学長・野口 光一)と連携して、がんの早期診断システムの研究開発を実施していきます。

研究に先立ち、当社は兵庫医科大学と2019 年4 月1 日に「包括共同研究契約」を締結し、同日に産学連携講座「疾患オミクス解析学講座」を設置しました。本講座の設置目的は、大腸・胃・肺・膵臓・乳がんなど主要がん種の検査法および早期診断システムの開発を目指し、双方が有する研究開発能力を活かして緊密に連携して研究を行うことです。兵庫医科大学に新たに研究拠点を設け、同一法人内の兵庫医科大学病院や健康医学クリニック(いずれも兵庫県西宮市)で収集した検体を当社の質量分析計で分析し、「疾患オミクス解析技術」を用いて研究を進めています。

※ オミクスとは、生物を構成する分子(DNA、mRNA、タンパク質、代謝物など)全体を様々な階層で網羅的に研究する分野のことです。オミクス解析は、再生医療、医薬品開発など、ライフサイエンス分野の研究手法として用いられています。本講座では、各疾患におけるオミクス階層の変動に注目し、生体内の代謝異常に基づいた疾患の新たな知見を得て、がんの診断・治療に活かす予定です。

包括共同研究契約 協定内容 (一部)

  • 共同研究等の研究協力
  • 研究技術、研究材料など研究情報の交換
  • 研究者、技術者の人材交流
  • 次代を担う研究者、技術者の養成
  • 双方が所有する施設・設備・装置・研究用試料などの相互利用の促進
  • 産学連携講座の設置および運営
  • その他、連携・協力関係を推進するために必要な協力

講座の特徴

学校法人兵庫医科大学は、医学的な研究を行う「兵庫医科大学」、臨床治療の現場である「兵庫医科大学病院」、ヘルスケアを支援する「健康医学クリニック」と、役割の異なる3つの機関を擁し、高度かつ新しい医療サービスを早期に社会へ提供できる体制を有しています。

島津製作所は、クロマトグラフや質量分析計に代表される微量な成分を高感度で検出できる分析計測機器と、疾患の早期発見や早期治療を支援する医用画像診断装置を、長年に渡って提供しており、両者を融合した新たな診断システムの開発を進めています。

今回、企業と大学が共通の課題について出口を見据えた高度な共同研究を行う産学連携講座の仕組みを活用し、双方の持つ技術と知見を融合させて新たな診断システムやサービスの開発と社会実装に取り組んでいます。

講座の研究概要

本講座では、島津製作所のガスクロマトグラフ質量分析計と液体クロマトグラフ質量分析計を用い、生体内代謝物を網羅的に分析するメタボロミクス技術による早期がんを発見するためのスクリーニング法の開発に既に取り組んでいます。

現在、健康医学クリニックにおいて健常者の血液検体、兵庫医科大学病院の各診療科において膵がん・大腸がん・乳がん患者の血液検体を収集しています。今後は他の種類のがん患者からも検体提供を受ける体制を構築しつつ、健常者と患者の血液検体中の代謝物の量を比較し、複数種のがんの早期発見につながるバイオマーカーの探索を行い、早期がんスクリーニング法の実装化を目指します。

将来的には、健診データや医療データを基に健康ポータルサイトを通じた助言サービスなど、各個人に合せたサービスを展開することで人々の健康増進に貢献していきます。