ニュース

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2026年5月19日 | プレスリリース 低分子医薬品の反応条件実験を無人化
アステラス製薬とロボットHTE自動化装置「AtmosOrchestra」を開発

株式会社島津製作所は、アステラス製薬株式会社(東京都中央区、岡村直樹代表取締役社長CEO)と共同で低分子・中分子医薬品の反応条件スクリーニング用のロボットHTE自動化装置「AtmosOrchestra」を開発しました。「AtmosOrchestra」は、医薬品の開発初期における煩雑なサンプル合成工程を産業用ロボットや当社製分注装置などによって自動化し、全工程の無人化を実現する特別仕様機です。本年4月下旬からアステラス製薬つくば研究センターに導入されています。同社は医薬品・化粧品の製造・包装の展示会である「インターフェックス ジャパン」(5月20~22日、幕張メッセ)にて本装置について発表する予定です。島津製作所はAIやロボットによる分析プロセス革新「アナリティカルトランスフォーメーション」(AX)を通じて、お客様のラボにおけるワークフローの自動化を目指してきました。今回の共同開発はこうした活動の一環となります。

写真:低分子・中分子医薬品の反応条件スクリーニング用のロボットHTE自動化装置「AtmosOrchestra」

写真:低分子・中分子医薬品の反応条件スクリーニング用のロボットHTE自動化装置「AtmosOrchestra」

 

HTE(High-Throughput Experimentation、ハイスループット実験)は、創薬における化合物探索やプロセス化学における反応条件の最適化などをロボットやAI(人工知能)を用いて高速で並行的に実施する手法です。低分子医薬品の創薬から安定供給への工程で欠かせない「CMC」(Chemistry, Manufacturing, and Controls、化学・製造・品質管理)の研究では、合成する原材料の種類や割合、反応温度や撹拌条件などの膨大な組み合わせから最適な合成条件を見つけるためのスクリーニング実験を重ねます。近年は最適条件探索サイクルにおける「分析」「解析」が効率化されてきたため、人手を介する「実験」がボトルネックになることが多くなっていました。

「AtmosOrchestra」で自動化した実験工程は「分注」(サンプル溶液を専用プレートへ注入)、「溶媒乾燥」(専用プレート上の溶液を遠心濃縮機で乾燥)、「分注」(反応に必要な別の溶液を専用プレートへ)、「反応」(揮発防止のフタをした状態で加熱し、反応が進みやすい温度で温調しながら攪拌)、「溶媒乾燥」(専用プレート内の溶液を再び乾燥)です。各工程を実行する機能モジュールやロボットアームなどを反応チャンバーに収納し、装置の稼働時は化合物の酸化や吸湿を避けるため、反応チャンバー内を窒素で置換します。

  • ※ 触媒や溶媒、温度、試薬濃度などのパラメータを検討して、目的生成物の収率最大化や不純物低減を図る手法

AtmosOrchestraの特長

1. 8連加熱撹拌モジュールとLC用オートサンプラによる高速合成

8台の専用加熱撹拌モジュールと3台の分注装置によって、一度の稼働で最大768サンプル(96検体バイアル×8枚の専用プレート)の処理が可能です。長時間の反応実験を夜間や休日に無人で実施でき、省人化とスループット向上に貢献します。

2. 専用反応チャンバーとロボットによる低酸素・低露点下での合成

スクリーニング実験では酸化や吸湿を嫌う化合物を扱うため、本製品は反応チャンバー内に各機器を内包して、低酸素かつ低湿度下での化学反応を可能にしています。反応チャンバーの前後に設置されたパスボックスから試薬供給や完成サンプル回収が可能で、効率的で試験実施を支援します。

3. 条件探索スクリーニングに適したソフトウエア

最適な条件を探索するスクリーニングにおいては複雑な条件設定に基づくサンプル合成が必要です。条件設定など実験開始時には、当社製品の制御ソフトウエアである「LabSolutions DB」を使用することで条件設定を容易にし、アカウント管理や自動レポート作成機能などサンプルのトレーサビリティも確保しました。