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2025年7月31日 | プレスリリース
金属3Dプリンターの脱脂・焼結の昇温ノウハウを全自動に
金属3種のレシピを真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」に標準搭載
島津製作所のグループ会社として、リークディテクタや工業炉、液送ポンプなど産業機器の開発・販売を手掛ける島津産機システムズ株式会社(本社:滋賀県大津市、社長:小西昭士)は、小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」に金属種・厚みなどの情報を入力するだけで、3Dプリンターの金属材料による焼結前の造形物について、レシピ(材料ごとに最適な熱処理の時間・温度・圧力など設定データ)を自動的に算出する「自動レシピ生成機能」を開発しました。7月下旬以降の出荷分の同製品から標準で搭載するとともに、納入済み装置にはユーザーの求めに応じて無料でインストールします。本機能の対象金属は、第一セラモ株式会社(本社:滋賀県東近江市、社長:川北晃司)が販売するステンレス鋼2種類(SUS316L、SUS630)および純銅の3材料です。島津産機システムズは2021年4月から2025年3月末までエス.ラボ株式会社(本社:京都市、代表:柚山精一)、第一セラモ、近畿大学(学長:松村到)とともにMEX方式(材料押出積層、Material EXtrusion)の金属3Dプリンター関連技術について共同で研究しており、本機能の開発もその成果の一部になります。
写真:小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」の「自動レシピ生成機能」(画面イメージ)
近年、様々な製造業が導入している金属3Dプリンター技術は、敷き詰めた金属粉末をレーザーや電子ビームで溶かしながら造形する「PBF方式」(粉末床融解結合=Powder Bed Fusion)が主流です。一方、島津産機システムズや第一セラモが研究しているMEX方式は、金属粉末を混ぜた樹脂材料を熱で溶かしながら造形した後に、真空脱脂焼結炉で熱して樹脂を除き金属焼結体を得るというものです。高額なレーザーを用いる方式より、「装置が安価で、造形も速い」というメリットを持っています。しかし、樹脂を取り除く「脱脂」および密度を高めて金属として仕上げる「焼結」の温度・圧力の設定が困難でした。タッチパネルのナビゲーションシステムの採用によって操作性を高めた「VHS-CUBE」は、「自動レシピ生成機能」の搭載を見据えた脱脂焼結炉です。島津産機システムズおよび第一セラモは、引き続き対象となる材料およびレシピの開発に取り組み、MEX方式の金属加工技術の高度化および普及に取り組んでいきます。
写真:小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」
小型真空脱脂焼結炉「VHS-CUBE」の「自動レシピ生成機能」について
金属の種類、造形物の最大厚み、重量、数量 セッタ(炉内で造形物を載せる板)の材種、重量、枚数などを入力することで、最適な熱処理の時間・温度・圧力などが算出され、それ以上の設定無しで熱処理を開始できます。
グラフイメージ:「自動レシピ生成機能」で算出した炉の最適な温度設定(横軸の単位は時間、縦軸は℃)
関連情報
https://www.shimadzu.co.jp/industry/products/furnace/vhs-cube.html
https://www.shimadzu.co.jp/news/press/p-49w-etrc-ym9g5.html