ニュース

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2025年3月26日 | プレスリリース CDMOのペプチスターに出資
核酸医薬品市場に向けてトータルソリューション提供へ

島津製作所は、ペプチド医薬品や核酸医薬品の原薬のCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization:医薬品開発製造受託機関)であるペプチスター株式会社(本社:大阪府摂津市、以下ペプチスター)と、同社への出資契約を締結しました。当社は出資を通じて、核酸医薬品の開発・製造工程に関する知見を獲得し、工程全体を支援するソリューションの提供と医薬品開発の迅速化への貢献を目指します。

核酸医薬品は、DNAやRNAなどの核酸から構成される「中分子医薬品」の一種です。副作用が少なくこれまで治療が困難だった疾患を含む幅広い疾病への適用が期待でき、低分子医薬品・抗体医薬品に次ぐ「第3の医薬品」として注目されています。核酸医薬品の製造工程では、原料となるDNA・RNAアミダイト*1などを化学合成して原薬であるオリゴ核酸を製造することが一般的ですが、意図しない不純物が生成される可能性があります。また、合成、不純物の除去・精製、原薬の評価といった工程ごとの分析・評価手法が十分に確立されていません。このため、高品質な核酸医薬品の安定製造は依然として課題となっています。

ペプチスターは、ペプチド、オリゴ核酸およびそれらのコンジュゲート体*2といった原薬の製造に特化したCDMOです。タンパク質の断片であるペプチドの合成による創薬を手掛ける東京大学発バイオベンチャーのペプチドリーム株式会社(本社:神奈川県川崎市)などの出資を受けており、GMP(適正製造規範)に準拠した国内最大の原薬製造設備を有します。ペプチドやオリゴ核酸の合成・精製に関する高い技術を持ち、近年は市場成長率の高さから核酸医薬品に注力しています。島津製作所は2021年から、核酸医薬品の原薬製造の分析・評価手法を同社と共同で研究し、その研究成果を、高速液体クロマトグラフ四重極飛行時間型(Q-TOF型)質量分析計用オリゴ核酸配列解析ソフトウェア「LabSolutions Insight Biologics」として2023年6月に発売しました。同社提供の核酸医薬品を模したサンプルを開発に使用したことで高い解析精度を実現しています。当社とペプチスターは出資を通じ、核酸医薬品の製造に最適化した機器・ソフトウェアの共同開発を加速させます。

島津製作所は、中期経営計画で製薬市場を最重要セグメントと位置付け、バイオ医薬品向けトータルソリューションを開発しています。核酸医薬品向けには、Q-TOF型質量分析計「LCMS-9050」に加え、簡単・迅速に原薬の評価が可能なマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「MALDI-8030 EasyCare」、目的とする核酸を不純物から分離・精製する高速液体クロマトグラフ「Nexera XS inert」などを揃えています。このたびの出資により核酸医薬品の開発・製造工程に関する知見を深め、革新的な製品・技術の開発によるラインナップの拡充と、これらを組み合わせたソリューションの提供を目指します。また、引き続き、バイオ医薬品向け製品・技術を速やかに社会実装して、バイオ医薬品の迅速な開発と安定製造に貢献していきます。

  • *1 DNA・RNAアミダイト:アミノ酸・糖・リンカーを結合した、核酸医薬品の原料となる試薬
  • *2 コンジュゲート体 :DNA・RNA・抗体・ペプチドなどの生体分子と、他の機能を持った分子を化学的に結合させた複合体

ペプチスターの概要

ペプチスター株式会社

代表者 代表取締役社長 藤家新一郎
所在地 大阪府摂津市三島2-5-1
事業内容 特殊ペプチド原薬の研究開発、製造および販売
オリゴ核酸原薬の研究開発、製造および販売
ペプチド・オリゴ核酸のコンジュゲート体の研究開発、製造および販売
設立 2017年
URL https://peptistar.com/ 

 

関連製品ページ
オリゴ核酸配列解析ソフトウェア「LabSolutions Insight Biologics」

オリゴ核酸の配列解析に使用するQ-TOF型質量分析計「LCMS-9050」

オリゴ核酸の配列解析に使用するQ-TOF型質量分析計「LCMS-9050」