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2023年6月1日 | プレスリリース AI技術でデータを自動解析、数百成分の農薬測定を正確かつ迅速に実行
GC-MS/MS向けAIソフトウェア「Peakintelligence for GCMS Ver.2」発売

島津製作所は、6月1日にトリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS/MS)用ソフトウェア「Peakintelligence for GCMS Ver.2」を発売します。本ソフトウェアは、独自開発したAIアルゴリズムにより誰でも簡単にGC-MS/MS分析結果の解析が可能です。昨年5月発売のVer.1※1で対応した「Smart Metabolites Database」※2に加え「Quick-DB  GC/MS残留農薬分析用データベース」※3および「Smart Pesticides Database」※4に対応しました。食品中の残留農薬は各国の法律(日本は食品衛生法)で農薬成分ごとに基準値が定められています。規制対象である数百成分の農薬測定データは、目的成分のピーク※5が重なり判断が困難かつ大量の解析処理が必要でした。本ソフトウェアは複雑なデータ処理を正確かつ迅速に行い、食の安全にかかわる合否判定でのデータ改ざんリスクも低減します。

従来の解析作業には、「ピーク検出のための適切なパラメータ※6をユーザー自身が解析ごとに設定するため、手間がかかる」「ユーザーによってパラメータが異なり、結果が属人的になる」といった課題がありました。本ソフトウェアに搭載したAIアルゴリズムは、GC-MS/MSによるグラフ状の測定結果(クロマトグラム)に頻出するピークを高精度で自動的に検出します。ユーザーによるパラメータ設定は不要で、近接するピークでも熟練作業者並みの解析精度で処理します。パラメータを最適化する時間が無くなるだけでなく、手動での波形処理といった作業負荷を約4分の1※7に軽減し、属人性を排除したワークフローを提供します。
当社はAI技術の研究開発を推進し、あらゆる分析装置への搭載を進めています。今後もAI技術を活用した新たな価値の創造と社会課題の解決を目指します。

新製品の特長

1. 残留農薬用データベースに対応

「Peakintelligence for GCMS」はVer.1での代謝成分分析用データベースに加え、残留農薬のデータベースでの分析結果に対応しました。規制対象である数百の農薬成分測定を正確かつ迅速に行えます。

2. 熟練者並みの解析信頼性

多種の農薬標準品分析や、夾雑物の影響を受けやすい実サンプル分析では、目視・手作業による処理が必要でした。ピーク検出を誤ると正しい合否判定ができないだけでなく、データの改ざんにつながる可能性があります。本ソフトウェアでは、熟練作業者による解析との一致率90%以上を実現しました。作業者に依存しない安定した測定結果を得られます。

3. 高い業務効率を実現

GC-MS/MSから得られる大量の分析結果を目視で確認・修正する解析作業には、膨大な時間を要します。本ソフトウェアは、AIアルゴリズムにより自動でピークを検出することで、解析作業を従来の1/4に削減しました。

  • ※1 大阪大学・島津分析イノベーション共同研究所から教師データ提供を受けています
  • ※2 代謝成分のメソッド作成を支援するGC/MS,GC-MS/MS用データベース
  • ※3 食品中の残留農薬を迅速にスクリーニング可能なGC/MS,GC-MS/MS用データベース
  • ※4 食品中残留農薬分析用のメソッド作成をサポートするGC/MS,GC-MS/MS用データベース
  • ※5 分析機器で得られるクロマトグラム(グラフ状の測定結果)の山部分。高さや面積が化合物の存在量を示す
  • ※6 ピークの始点と終点を検知するための条件
  • ※7 4つの試料に約200成分の化合物が含まれる場合
価格 66万円(税別)~
目標販売数 発売後1年間で国内外合わせて10本

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