油圧機器の騒音課題を解決するSERENADE Technologies

電動化対応ソリューション | 油圧ポンプ関連

カーボンニュートラルの達成へ向けて、乗用車のみならずさまざまなモビリティの電動化が注目されています。駆動源がエンジンから電動機に変わることで、環境面でのメリットの他に、騒音の低減という利点も上げられます。
フォークリフトや建設機械など油圧機器を用いる車両でも電動化が進み、駆動源の騒音が下がるとともに、これまで陰に隠れていたシリンダ等の油圧アクチュエータを動かす駆動源となる油圧機器の騒音が目立ってきます。
この問題を解決するために、島津製作所では油圧ポンプの低騒音化に取り組み、低騒音、低脈動を実現したギヤポンプ「SERENADE/セレナーデ」を開発しました。

【 図1 電動フォークリフトの構造 】

ギヤポンプの騒音の原因とは

ギヤポンプとは、作動油を吸入・吐出し、フォークリフトのシリンダなどの油圧アクチュエータに油を送ることで油圧力を生み出す、油圧力の動力源となる機器のことです。一対のギヤを噛合わせて回転させることで油の吸込と吐出をおこないますが、吐出される流量は常に一定ではなく、非常に細かい脈動が発生します。この脈動が車両に伝わり、騒音や振動につながってしまいます。

SERENADEはどのようにして低騒音化を実現しているのか

ギヤポンプの脈動の原因の一つとして、2つのギヤがかみ合う部分のギヤ同士の隙間(バックラッシュ)があげられます。この隙間が大きいと、送り出される吐出流量の脈動が大きくなり、騒音や振動につながります。SERENADEはこの噛合い部の隙間をできるだけ小さくし、流量の波を小さく細かくすることで、低騒音・低振動を実現しています。

【 図2 バックラッシュと脈動の関係 】

バックラッシュを小さくする技術とノウハウ

SERENADEは、高精度な加工によって部品を作り、部品ひとつひとつを精密に測定しながら、バックラッシュが限りなくゼロに近づくように組み立てられます。当社はこの精密製造のノウハウを独自に蓄積してきました。それによって、製品ごとのばらつきが小さい高精度な低騒音油圧ポンプの量産を可能としています。

今後の展開

当社がこの技術で、低騒音・低脈動ギヤポンプの量産化を確立したのは23年前になります。当時はまだ、低騒音化を求められていたのは一部の電動フォークリフトだけでした。
しかし、現在の社会的な電動化の流れにより、今後は、建設機械や特装車両など、これまでエンジン駆動であったさまざまなモビリティにおいて、この低騒音化技術の需要が高まっていくことが考えられます。
島津製作所は、この電動化の流れに対しSERENADE技術をさらに発展させることにより、社会課題の解決に貢献していきます。

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